エスプリヌーボーからもお知らせメールが送られたようですね。個展が近づいてきました。
会期は10月23日ー11月8日 会期中の各火曜日はお休みです。
個展の際にはいつも広報用に、制作についての簡単な文章を書いているのですが、こちらにも掲載してみます。
ちと、長いかな。。
「あたらしい言葉」
近頃、立体感や遠近感、色彩などの錯視の仕組みが、テレビなどでも取り上げられています。それらは、私たちの「見る」という行為が脳の機能に支えられている事を示していて、それゆえに今現在においても未知な部分があり、不安定で偏った認識をもたらす可能性があることを、驚きと、ちょっとせつなく残念な思いとを織り交ぜながら理解させてくれます。残念な思いとは、私たちが同じものを見ながらも、共通の認識を持つことが如何に不可能かをそれらが物語るからです。例えば僕の経験では、春にスケッチを学び始めたばかりの学生達が、同じものを見て描いたとは思えないほどバラバラな絵を描くのは、彼らの目には本当にその様に見えているからです。そして今度は逆に、彼らは夏になる頃までに、遠近法という驚きの(?)ものの見方を獲得することで、皆同じ様な絵を描こうと努力しはじめるのです。実はこのどちらもが、私達の「見る」ということの正体であり、我々の視覚での認識能力の外堀です。個人的な経験の外にも、文化的、歴史的な背景の外にも、我々の眼は付いてはいません。 絵を描くとき、「見る」ということの不安定さ、不自由さを知り、その中にこそ見えてくるあたらしいことばを描き出したいと思います。
「あたらしい言葉」 気づかなかった感覚に名を与える様に描くこと。