おはようございます。3月のキットハウス展覧会も近づいてきました。プレスリリースに書きましたコメントをここへも載せます。一番下のリンクはPDF書類でリリースの書式になっています。画像はありません。以下コメントです。

 

hobo cycling sketches ーあなたとおなじものを見るー

 

ギャラリーキットハウスで毎年展覧会をさせていただくようになって今回で3年目になります。会期は毎回3月中旬なので、一昨年の展覧会直前に震災が起こりました。 その年は、オープニングパーティの際、こんな時に大勢でお酒を呑むのは良いものかどうかと思案しながらブログでお誘いの記事を書いたのを憶えています。 去年の個展のタイトルは「逆光の麗容」。そのリリースの文面は、今読むと原発事故の原因やその対応に対して少し激しい表現になっています。 そして、三年が経とうとしている今も、明るい展覧会のイメージは持てません。 それでも描いて、みなさんに観てもらおうとするのは何故なのか。

私達にとって何が大切なのかは、日常の視点を少し緩めて、落ち着いて身の回りにあるものを見渡せば( 様々な、人々の差異を含めたとしても)、答えは見つかりそうだと思うのだけれど、この国はその様に進まない。「逆光の麗容」というタイトルに込めたのは「そこに在るのだけれど、今は見えない」という思いでした。

 

昨年、宮城へ旅行したことがきっかけとなって、南相馬市で復興活動を行う方の近況を伺う機会を得ました。「私の町に(収入を得る)仕事が無いのではない、仕事を続けていくための希望がない。それをどうにかしたい。」と、口にされながら、増加したという虐待や、若い人の減少した町で老人の方々とのコミュニケーションの場を創出すること等に尽力されておられるとのこと。希望が持てないという憤りを抱えながらも、ひとりひとりの問題に工夫を凝らし実践されている姿が印象的でした。

何かに取り組むことでしか、進んで行けない。

身の回りで見つけた、ほんのささやかな灯りでも、それを描いて確認することが、僕の作業だと改めて確認させていただいた。社会の多くの困難に対して絵は無力なものです。けれど、hobo が、出掛けた方々で、目に映した風景の展覧会の絵に、ささやかな喜びの発見があれば幸いです。

 

2013.2.20 立嶋滋樹

 

http://tateshima.net/013kit_pressrelease1.pdf

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