岸本和明 Kishimoto Kazuaki
奈義町現代美術館 NAGIMOCA 副館長

立嶋滋樹展「百代の景〜時をうつす途中に〜」
奈義町現代美術館ギャラリー
2011年10月2日ー11月6日

立嶋滋樹(1968-)は三重県四日市市出身。大阪芸術大学美術学科在学中から個展やグループ展で作品を発表しており、主に関西方面を中心に精力的に創作活動を展開してきた注目画家の一人です。
大きく広げられた浮遊感溢れる色面は、柔らかく懐の深さを感じさせる絵画。「目に映るその途中のものを画面に示したい。というスタンスが物語るように、2001年から「slow」をキーワードに制作活動を続けています。自作について、「目にする風景、光景はすべて移り変わっていく途中の風景」と述べているように、その絵画作品は、遠近感を省略し印象的な輪郭のみを緩やかに残し、不確定でありながら奥行のある質感を内包させた特徴的なものです。本展では、画面に描く形態を、風景の中から模索しているという立嶋が、奈義町の風景からインスパイアされた最新作の作品約20点の絵画と、「hobo-note」と呼ぶ自作の小さなスケッチ帳に描かれた風景や植物のスケッチを併せて展示します。展示された本画とその制作の源泉となるスケッチとのギャップを眺めていく面白さを知り、日々移り変わっていく時間の経過を改めて自らの心象風景と照らし合わせて深く味わっていく機会になることを期待しています。

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