012年エスプリ個展コメント

 

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展覧会タイトルの「百代の景」という言葉は、「永遠の景色」といった意味ですが、うつろいながら変わらずに在る全てのもの達を形容する為に作りました。これまでに「うつす」「slow」など時間に触れる言葉を好んで使って来ました。それは、見ること、景色を見る、その中に時間を見ているという感覚を持ったからです。それからは、この風土に生きた先達の眼差しにも、それを感じるようになりました。四季や天候の移り変わり、植物に、生き物の動き、味覚、人のこころ。全てを変化の中で愛でたのではないかと。

昨年、私達にとっての永遠を脅かす事態を、私達は、自分自身で招いてしまいました。その収束は、ある側面だけを捉えて答えが出せる様なものではありません。

是か非か。

いえ、この問題に僕は、絵を描くものとして、永くこの土地に住んだ者達が寄り添ってきた感覚の価値を確かめてみたいと思うのです。捨てられないものは何かを整理するアプローチとして。

私達も、うつろうもの達の一部です。流されながら定点を得るのは難しい。僕は、絵画という視点で、その流れを、一瞬外から眺めたいと思っています。

 

立嶋滋樹 2012.12.3

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