実は、「行かないとな」と、思っていた理由は、行って帰って来るまで分からなかった。

地震直後から種々の報道を見聞きして非常に重い気持ちを感じていたし、去年3月、個展の絵を準備しながら、自分ってのは世の中から随分遠い所にいるなぁと、思ったことは憶えている。

ただ、被害の甚大さが与える重い気持ちは、誰も皆同じ様に感じていることだし、僕は、ボランティアだと言って直ぐに体が動く質でもなく、そもそも捨て身で生活している様な者に人助けができるとも思えない。旅費ですら僕にとっては工夫を要する。「行かないとな。。」「でも、行って何に?」と、いうのが正直な思いで、重い気持ちの方はズルズル引きずったまま過ごしていました。「行かないとな、でも、」に、突如踏ん切りがついたのは、若いミキやんが唐突に「おんなじ日本に住んでるんだし、やっぱり見ておかないといかんかねぇ。」と、ボソリと婆さんの様につぶやいたとき、「そうかぁ、みんな、お見舞いくらいは出掛けないとねぇ。と、思ってるんだ。」そうか「見舞い」か。それでいい。

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