一週間前のはなし。金曜と土曜にそれぞれ、戦争体験のお話を伺う会と、美術作品について作家自身が司会者と語る会にお邪魔した。
今回たまたま、どちらも40年という共通項があって、一方は、戦争の語り部を自負されて40余年、作家の方も今回の展示には40年前の作品と新作とで構成された展示とのこと。二会場共、決して広くはないのだけれど、どちらも会場いっぱいの人が集っている。先ずそのことに「力」を感じる。

 

ご自身の戦争体験をなるべく赤裸々に語ろうと長年活動を続けてこられたことに、もちろん頭があがらないのだけれど、当時には子供であった語り部に、国家と国民が、戦争というそんな狂気に、なぜ突入していくのかを聴くことはできない。
また美術のお話も、僕には、「美的体験に、はたして言葉が必要か。」と、思っているところがあって、お話から作品の印象が変化することはない。

 

けれども、一時間あまり、一人の人が感じてきたこと、やってきたこと、やってみて感じたことを伺っている間に、自分の気持ちが「その人とそのこと」に寄り添っていくのを感じる。「戦後が終わって生まれても、戦争を知らないとは言わないでほしい。」という言葉が僕の真正面に立つ。さっきから眺めている作品の隣に、その作品の放つものを味わっている人物が見えてくる。

何かが綺麗に片付くわけではないけれど、寄り添うと自分が変わる。

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