今週は、なんといっても、

野球の日本シリーズが、頭の中にどっかと居座っている。今年初めて野球を見た様な感じがする。シーズン終盤、超加速度的に弱くなる阪神を耳で追っていたので、野球のことはもう豆粒の様に小さくなっていたのに。。ましかし、ここでわたくしが、田中投手や全7戦の戦いの模様を辿って書いたところで、誰も面白くはないでの深入りはしないけれど、、少しだけ。書くのかぃ。。最終7戦目の9回に、前日の一試合を投げきっている田中投手を登板させた件。ホント驚いた。これは、星野監督が、梶原一騎を越えた瞬間だった。解説をしていた大投手、工藤公康氏だって、「前日に160球以上試合で投げて、僕、次の日にピッチングしたことがないです。」と、言っている。最悪、ストライクが一球も入らない事態だってありえるやろぉ。素人だってそう思う。田中投手の初球が、150km/h近くの速さでストライクゾーンに投げ込まれて、もう一度「ホントに投げられるんですねぇ。」と、大投手も言っている。そのころ僕は、テレビでは実写の映像を見ながら、頭の中では、アニメとなったマー君が、オズマか誰だかに投げているのを同時に見ていた。ヒットを打たれ、二人のランナーが出塁し、ここでホームランを打たれれば同点という危機になったのに、最後のバッターは、三振するのだと、確信していた。だって、ヒーローは最後に勝つのだから。

あぁ、頭がクラクラした。現代の野球は、現代の世と同じ。分析と分業と確率がセオリーだ。そこへ、梶原一騎監督が、勝利を目前にして、定石よりもヒーローを描くための筋書きを選んだ。前日に今シーズン唯一の負けをつけられたエースが、連投で9回のマウンドに立つ。勝負の結果は分からないが、この瞬間、マー君は、星野飛雄馬になる事が決まったのだ。

少々、浪花節か時代劇のようではあるけれど、芝居ではない。対する巨人とは、勝負をしているのだ。あの球場にいた全ての選手と二人の監督は、自分のプレーと判断に、稼ぎを託すプロなのだ。自分の首が懸かっている。そんな職業野球人達の、半年間の勝負を尽くした末に飛び出した、作り物のドラマを越える筋書きに、僕は、ほくそ笑んでいた。そこには飛躍があった。トラが、走りに走って最後にバターになるような、意味と無意味が繋がる様な感覚があった。分析と確率が、最後に人の情の様なモノとひっついた。

はたして勝負は、ヒーローが勝利を掴んだが、勝負の神様は、他にもいろいろな筋書きを持っていたに違いない。後からなら、いろんな意見も出るだろう。けれど、あれを見ていた人は皆、ドキドキワクワク野球を楽しんだと思う。まだ若い投手への期待が思わぬドラマをもたらした事を皆が見たと思う。

ああいうものがあれば、まだやっていけるように思う。

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